会長就任あいさつ

 

伊那谷経ヶ岳8合目から御嶽山を望む(2023年3月)

 今期より会長に就任いたしました。東海支部とのお付き合いは,2005年に豊田高専に就職した数年後に,矢作川研究所が主催する矢作川学校ミニシンポジウムで,野崎健太郎さんに声を掛けていただいたのがきっかけだったと記憶しています。その後,学会へ入会し,あれよあれよという間に,沼にはまったように係わらせていただいています。

 入会当初は陸水分野への門外漢意識が強く(同じ陸水の水質研究をしていたにもかかわらず…),ある程度の距離をとりながら,様々な行事に参加したり,幹事を務めさせていただきました。その意識の源は何だったかを振り返ると,自分の専門的な立場を維持するための,自己防衛ではなかったかと思います。そんな状況ですと,学会へ参加はしているものの,活動への共感が生まれることは少なく,フワッとした心持ちでいました。その後,教科書の執筆,御嶽山などでの共同研究で,「連帯と共助の大切さ」を学会の中で学ばせていただきました。 

 さて,昨今のニュースなどでは,Chat GPTなどのAI技術についての記事が世間を賑わせています。今後,生活,産業,学術面などでは様々なインフォマテクスが活用される時代が到来すると思われ,研究様式や人との交流様式も大きく変わります。しかし,この学会に所属している皆さんは,デジタル技術を使ってのセンサリングをフル活用するよりも,コツコツとした仲間同士での現地調査,そして夜通しの語り合いを敬遠しない方が多いと思います。

 時代は大きなうねりと共に,様々な分野でカタストロフィーが起こる予感がしています。そのような中でも私が以前学会で学ばせていただいた,学会員同士の共感力を大切にし,現地の人文・自然科学を核においた学会活動の維持と発展を在任中は進められればと思っています。COVID19の影響も小さくなってきました。感染症等への注意はしつつ,進化した学会活動を行いたく思いますので,幹事のみならず,学会員の方々についても,学会活動への参加,協力どうかよろしくおねがいいたします。

 

2023年4月18日

日本陸水学会東海支部会 会長 松本 嘉孝