会長あいさつ

会長からのあいさつ

昨年の湯の山総会で会長になりました井上祥一郎です。名古屋の下町、大須の南生まれで下町育ちです。家業は木彫仏像職人の京仏師でしたが、3年前に6代目を継いだ実弟が他界し、江戸時代から続いた京屋久兵衛の歴史が終わりました。

伊勢山中学、明和高校と生物部に在籍し、生物の教師を夢見て一期校のK大の植物生態の研究室を目指しましたが受け入れて貰えず、信州大学農学部林学の造林研究室を、間伐後のカラマツ林分生長を卒論として卒業。民間4社を渡り土木・環境関係の技術者として働き、名古屋で定年を迎えました。

定年後も現役を継続しており、現在4社の技術顧問で糊口を養っていますが、本州でトップ、日本で2番目に当る森林部門等8部門9科目の技術士登録という看板のお蔭です。技術士は知名度の低い国家資格ですが、建設コンサルタントにとっては必須の資格とされているので、修得技術の第3者評価を目的に受験しておいて良かったと心底思っています。手掛けたのは、汚水・雨水の土壌浸透、汚水からの窒素除去、ヘドロの改質、畜糞等の堆肥化等の生態サービス系技術分野で、陸水に関係するところも少なくありません。これらを集積・統合して、現在は専門を「流域環境修復実学」としています。

教師稼業は家庭教師のアルバイトで、教えることの難しさを知り断念しましたが、国立豊田高専、私立東海工専、信州大学教育学部で、衛生工学や環境学習教育の非常勤講師を務めさせて貰いました。

 

東海支部会は研究者主体の組織と思っているので、会長職の打診は将に青天の霹靂でした。推薦の背景は分かりませんが、研究者と技術者の橋渡しが必要と思ってきたし、研究成果を利用させて頂いたお礼や、冥土への土産話にもなる等々、能天気に承諾させて頂きました。支部会に呑み仲間が多いので、そちらの方の楽しみが大きかったのかもしれません。技術屋候(そうろう)の舵取りとなると思いますが、暖かいご支援を頂けますよう宜しくお願い致します。

昨年の田沢湖大会での本会発表が古稀の手習いで、その様子は野崎幹事がレターに上手く報告してくれました。2月の木曽では田沢湖に引き続いて、技術情報の発信を試みます。

現在のフィールドは宍道湖、諏訪湖、三河湾です。宍道湖西岸に10坪の柱倉つくりの活動拠点を、かくれ庵という蕎麦屋さんの敷地につくりました。月に2度、夜行バスで出掛け、宍道湖漁協のワカサギ孵化場のプール3本で、島根大学、信州大学の協力を得て微細藻類とケイ酸の動きを追っています。

諏訪湖では地元の諏訪湖クラブ(沖野外輝夫会長)に所属し、関係者と交流をしながら「諏訪湖創生ビジョン」向けに技術情報の発信を心掛け、三河湾では、国交省豊橋河川事務所が企画する「矢作川流域懇談会」に参加し、アサリ資源の回復等について技術経験を生かすべく活動しています。

最近気になるのが「水清ければ魚棲まず」を見たり聞いたりする機会が増えたことで、誤解を与えるのではないかと危惧しています。水が濁って健全なのは「きれいな濁り、汚れた澄んだ海」と呼ばれた有明海等限られた所です。矢作川と庄内川の幟旗は「濁水に挑む」と「川の汚れは心の汚れ」です。

 

年齢故でしょうか?環境団体の役職も多くなり、名刺の白地部分が少なくなってきました。何時まで体力・気力が続くか分かりませんが、生物部の延長人生をトコトン楽しみたいと思っています。会員の獲得にも努力したいと思っています。

筆記主体の技術士受験相談を受けることも多く、書くことの最大の効用は、自分の間違いを素直に認めることができることだと説明しています。技術士法では倫理を重視して罰則のある信用失墜行為の禁止義務や、公益確保の責務等を定めています。研究と技術の倫理について気配りしたいと思っています。

 

日本陸水学会東海支部会 会長 井上 祥一郎