陸水見学会

2008年陸水見学会の報告~「徳山ダム見学会」~

 

11月16日に陸水見学会を徳山ダムほかで開催しました。参加者は、今回の世話役である谷口幹事(名城大学)と著者を含め、総勢9名とやや少ない人数でした。当日は、小雨が降る天候で寒い一日でしたが、幸いにも午後は雨も止み、紅葉が綺麗にダム湖に映し出されていました。

まず、名古屋駅で水資源機構の柴田氏と国土交通省中部地方整備局の森田氏に出迎えていただきました。バスに乗り込み、一路徳山ダムへ向かい、約2時間で到着しました。

徳山ダムは、さすがに日本一の貯水量を誇るだけのことはあり、提体のロックフィル構造は非常に大きく、圧巻という言葉が良く似合う規模です。まず、ダムの管理所内の会議室において、徳山ダム管理所副所長の星野氏により、ダムの概要説明、選択取水塔、利水・水位低下用放流設備の説明がありました。ダムの目的は、洪水調節、流水の正常な機能の維持、新規利水、発電の4つであり、提体はロックフィルという構造で、粘性土、砂礫、岩を利用し、(コストダウンの意味も含まれているようで)極力コンクリートを使用していないダムとのことです。ダム建設に際しては、様々な面で環境に配慮した工事を実施したことを強くアピールされていました。その他にも多くの説明をいただいた後、施設見学に向かいました。

管理所内では、コントロール室にてダムの管理や監視を行っており、液晶モニターにはダムの情報が映し出されていました。次に見学した選択取水塔では、ダム上流に流れ込む水と同じような水温の水を放流するために、取水塔の温度や濁度の鉛直分布を測定し、取水する深さをコントロールしていました。いろいろ見所も多く、スケジュール通りの進行が難しくなったため、お昼の時間を利用して、徳山ダムの環境概要の説明を受けた後に質疑応答となりました。参加者からは、「ダムの環境管理( 水質等)目標はあるのか」、「具体的なデータの収集は行われているのか」、「生態系に配慮した放流水の調節とはどのような点を重視しているのか」、「各方面の意見交換会で取り上げられた意見は公開してもらえるのか」、などの質問がなされました。それに対し、ダム管理者側からは、「河川流量の安定供給に重点をおいている」といったお答えがありました。やはり、洪水調節という役割が大きいからかも知れません。その他については、必ずしも明確な回答はありませんでしたが、「徳山ダムの弾力的な運用を考える検討会( 委員は学識経験者、利水関係者、関係自治体で構成)」にて、具体的に議論していくことを強調されていました。

午後には、横山ダム工事事務所( 国土交通省中部地方整備局)の新高氏のご案内により、ダムの概要説明に引き続いて、提体視察を行いました。新高氏によれば、徳山ダムの弾力的な運用が開始された場合に、ダムの運用を徳山と連動させることは容易であり、その準備は既に出来ているとのことです。横山ダムは全国的にも例が無い、中空重力式という構造で、堤体を縦断的に見るとⅠ型のコンクリートが並んでいて、ちょうどⅡの文字のように、ⅠとⅠの間に空間がありました。実際に見学した堤体内部では声がよく響き、なかなか面白い体験ができました。

最後になりましたが、今回の徳山ダム見学会の企画を快諾して下さり、案内をして下さいました、水資源機構の柴田氏と国土交通省中部地方整備局の森田氏および徳山ダム・横山ダムの関係者の方々に感謝いたします。

 

管理所内の会議室にて水資源機構の柴田氏の説明

 

霧の中、ダム天端を視察

 

参考HP:

徳山ダム: http://www.water.go.jp/chubu/tokuyama/

横山ダム: http://www.cbr.mlit.go.jp/yokoyama/

(文責:石川雅量)

 

 

 

過去の開催

 

2007年「陸水見学会」